INTERVIEWインタビュー
INTERVIEW

4

伊藤玄氏インタビュー

インタビュー

空間、料理、アート、照明のそれぞれが見事に融合し、唯一無二の空間を提供するVIVI。
今回はVIVIの柱である料理を担うシェフ、伊藤玄氏にインタビュー。料理人の道を選んだきっかけや、VIVIへの想いを伺いました。

profile

伊藤玄
2003年:愛知県知多市に生まれる
Student Days:名古屋辻調理専門学校在学中から、ロブションの系譜を継ぐシェフの元で2年間修行
Professional:卒業後、VIVIに入社。フランス最高峰の称号「MOF」を持つシェフの右腕として、2年間フランス料理の最前線を経験
2025年:22歳の若さで「欧州料理VIVI」のシェフに抜擢
――巨匠たちの教えを胸に、VIVIの新たな一歩を刻む。

――料理人を目指したきっかけや経歴を教えてください

学生時代は駅伝部に所属し、全寮制の高校に通っていました。寮では三食を自分たちで調理する環境で、もともと料理が好きだったこともあり、先生や先輩方に自分の作った料理を褒めていただく機会が多くありました。
その後、競技を続けられなくなったことをきっかけに、自分の強みと向き合い、料理の道に進む決心をしました。

ただ昔から、人と同じことをするのがあまり好きな性格ではなくて、一流ホテルや有名店で働くことにはあまり魅力を感じず……。「何か面白いことがしたい」という漠然とした思いで求人を見ていたときに、開店して間もないVIVIを見つけたんです。

幼い頃は絵画教室に通い、大人になってからもずっと絵が好きだったので、料理とアートが融合するVIVIの空間に強く惹かれました。面接のときに杉本オーナーへ「普通のことはしたくない」と伝えたことは、今でもよく覚えています。
それから5年間VIVIに在籍し、1年半ほど前にシェフに任命されました。

料理には、その人の人生が表れるものだと思っています。自分が体験してきたことや学んできたことを表現できる料理を届けたい。そうした思いから、海産物は出身地である知多から、山の食材は高校時代を過ごした岐阜県から仕入れています。


――アーティストとのコラボレーションメニューを始めたきっかけは

私はアルバイト時代から、アーティストとのコラボ料理を作ってみたいと強く思っていました。
シェフに就任してから最初の個展を開催されたのが真弓将さんだったので、そのときに初めてコラボメニューを考案させていただきました。

真弓さんの作品のなかで表現されている深みのある緑を表現するべく、抹茶のチーズケーキとガトーショコラを二重層にしたケーキに、粒あんを赤ワインで煮込んだソースをかけて召し上がっていただくデザートを作りました。
そのときはとにかくがむしゃらでしたし、今思えば浅い仕上がりだったのですが、やはり最初の一品だったので記憶に残っていますね。

最初はデザートが精一杯でしたが、現在はコース料理を考案し、オープニングパーティのときに提供しております。

――料理人としてもアートから受ける影響も大きいのでしょうか

毎月個性的なアーティストの方が個展を開いてくださるので、毎回本当に勉強になるなと感じています。

今まで複数のアーティストの方と交流させていただきましたが、料理とアートは似ているねという話をたびたびしています。特に私は料理を作るときにひらめきやイメージを一番大切にしているので、料理へのアプローチは他の料理人の方と異なっているかもしれません。

特にコラボメニューを作るときはイメージを膨らませることが必要なので、作品はもちろんアーティストの方の思想やバックグラウンドなども考慮しています。
例えば原田暁一さんは龍を描かれる作家さんだったので、東洋哲学の本を読むことから始めました。

シェフに就任してからというものそんな毎日を過ごしてきたので、本当に濃くて成長できた1年半だったと感じています。


――VIVIならではのやりがいを感じた瞬間は

コラボメニューを出すようになって以来、多くのリピーターの方にご来店いただけるようになりました。

あるときリピーターの方から、自分の誕生日パーティのためにコンセプトメニューを考えてほしいとご依頼いただいたんです。
お寺のお仕事をされている方だったので、仏教をコンセプトにしてみんなで分け合う大皿料理をメインにお出ししました。そのパーティーにはVIVIのコミュニティの方のほかにも、地元のご友人もご参加されていたので、私の料理を通して初対面同士の方が和気あいあいと楽しむ空間を見たときは、本当にやりがいを感じました。

――VIVIの魅力とは

一番の魅力は、周りの目を気にせず自分の好きなスタイルを存分に出せる場所であることなのかなと思います。
お客さまのなかには浴衣の方もいらっしゃればロックな服装の方もいらっしゃいますし、本当に個性豊かな方が集まるレストランだと感じています。


――VIVIのお客さまへメッセージをお願いします

料理とは、美味しいことは大前提として、食べる前の好奇心と興味が必要だと私は考えています。お客さんの好奇心をくすぐるような一皿を作りたいという一心で、今も試行錯誤を重ねています。

例えば、今ちょうど個展を開催されているサッカラーニ愛さんの作品の中には、先祖から今、そして未来に受け継がれるものを表現した作品があります。それをヒントに、バナナの葉っぱやライムの葉っぱを取り入れてみたり、人が昔触れていたものを料理に落とし込むことができるかどうか挑戦しています。

人間にとって食べることは栄養素の摂取であり、純粋な欲求のひとつではありますが、ただお腹を満たすだけでなく「食」そのものが体験になり得るような料理を追求していきますので、これからもどうぞ応援よろしくお願いいたします。

――伊藤さん、ありがとうございました。

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)牛丸朋美

RELATED

関連記事

PAGE TOP