10月4日(金)〜10月27日(日)の期間中、VIVIの店内壁画や中庭アートを担当したWOK22氏と、ライブペインターとしての活動を軸に店舗内壁画、グラフィックデザイン、プロダクトアートディレクションなどを手掛けるSENSE氏のグループ展「SENSE × WOK22 GROUP EXHIBITION」がVIVI2Fアートスペースにて開催されました。
今回はSENSE氏ご本人にインタビューを実施し、ご自身の作品についてお伺いしました。
profile
坂巻善徳 a.k.a. sense @sense_art_jpn
2002年からアーティスト、ライブペインターとしての活動を軸に、屋内外壁画、グラフィックデザイン、クリエイティブ・プロデュース、映像制作、立体インスタレーションなど様々な分野で多数のコラボレーション作品を制作、その作品を通して世界にPeace&Happinessを送り出し続けている。
近年ではARTで様々なデジタル・テクノロジーや伝統技術、基礎心理学、様々な思想を紡いだプロジェクトを展開し、3Dプリント装飾義肢プロジェクト:4D TAILOR等、様々な新しいライフスタイルを生み出す視線でのART & CREATEを展開中。
――WOK22氏とグループ展を開催するに至った経緯は
最近WOK22くんと絡む機会が多くて、タカさんからVIVIの10月の展示のオファーが来たときも福岡でのイベントの最中でWOK22くんと一緒にいたんです。
ちょっと仕事が詰まっていて、そのスケジュールで個展は難しいかな……と思ったときにパッと横を見たらWOK22くんが絵描いてて(笑)。2人展ならちゃんと充実した展示になるんじゃないかなと思って声をかけたら「いいっすよ」って快諾してくれたので、グループ展が実現しました。
――ご自身の作風のルーツを教えてください
僕は小学校まで片道4キロ弱くらいあるような、結構な田舎で生まれ育ちました。小学校3年生からボーイスカウトに入っていたこともあって、自然と近しいところで生活していたんです。
そうした背景から慣れ親しんだ自然や精霊、アニミズム的な要素もあると思いますし、あとは自分が幼少期の頃に流行っていたロボットアニメも関係しているかもしれないですね。
他にも、川崎重工に勤めていた父がJAXAの仕事に携わっていたので宇宙への興味もありましたし、すると今度は微生物にも興味が湧いてきて。それから微生物発酵や水質改善の研究をしながら、今では農業も手掛けるようになりました。そういうサイクルすべてをクリエイティブとして捉えているので、僕にとってはアート活動なんです。
つまり、自分の作風っていうのは自分の生き方が全部反映されていくものだと思っているので、何か具体的にひとつのものを言えないんですよね。
「○○からインスピレーションを受けた作品」という言葉を耳にすることもありますが、インスピレーションっていうのは内側から湧き出すものであって、外側から来るものに関しては、それはスタディだったり、転換と言えるんじゃないかなと。
だから、インスピレーションはどこ「から」受けたのかというとどこからも来るわけはなく。自分がどういう風な生き方をして、何に触れてきて、どんな空気でどんな水を飲んで、どんな教育を受けて、どんな土地でどんな人に会って……というすべてが形になって作品になるものだと思っています。
――そうしたSENSEさんの作品に説明を求められた場合はどうされているのでしょう
僕は、作品を見た側の方の感じ方次第で変化するものだと思っているし、どんな風にみてもらっても構わないという意味でもほとんどの作品のタイトルはuntitledにしています。
一方で、美術業界ではある程度のステイトメントは外せないものになってしまっている部分もあるので、そこは絵の説明というよりも空気感や匂いがうっすら伝わるような詩やライミングを載せています。
実は風景画ですら物悲しく見えたり、反対にとても綺麗に感じたり、見る人のそのときの心情によって印象が変わるものですよね。だから、見方の答えを示すのはアート界の野暮なとこだよなーとは思いつつも(笑)、作品の説明ってまずその作品が意味を持つためには大切なことだし、その答えを素直に受け止めて見るのも面白いと思います。
でも、何の手がかりもなく「これは一体何なんだろう」と思って鑑賞することは、その作品にどんどん深みを増すことができる見る側の行為なんです。だから、例え作品のステイトメントに感銘を受けたとしても、その作品をもう一段輝かせるためにぜひ自分なりの違った見方をしてもらいたいですね。
――今までに数々のデザインも手掛けていらっしゃいますが、クライアントワークのときはどんな工程で制作をされているのですか
基本的に自由にやらせてくれるような案件が多いんですが、例えば自分に声かけてくれた人から「この作品が気に入ってオファーしました」と言われたら、同じパターンのデザインをたくさん見せて相手が望んでいるものを掴んでいくことから始めています。
僕のなかでコラボレーション企画のゴールとは、コラボレーションする人と「これだよね」ってお互いに満足できるものを作り上げたかどうかなので、正直に言えばその先にいる買う人達のことまでは想定していなくて。例えどんなに大きな仕事だったとしても、僕の仕事をサポートしてくれた目の前にいるたった一人に刺さるようなものを作るようにしています。
でもそうやって売る人が凄く喜んでくれたものって、結果的にみんなが喜ぶプロダクトになるんです。万人受けするものって意味を為さないから色んなところに色目を使う必要はなくて、ひとりにぶっ刺さるものさえ作ればあとはその人の魂とつながっている人たちが自然と反応してきてくれるので、非常に実りのある行為だなと感じています。
――名古屋・VIVIという場所で展示することに対する印象は
15年くらい前に名古屋造形大学でライブペイントをやったことがありますが、名古屋での展示は初めてだったので今回は「僕がSENSEです」というイントロダクションのつもりで自由に作品を用意させてもらいました。
飲食店での展示は今までにも結構経験があって、やっぱり美味しいものが好きな人って美的センスも持っていると思うので、カフェなどに自分の絵を飾ることは好きですね。
でも僕の作品はストリートアートというカテゴリで語られることが多いですし、あとはサイエンス系や福祉関係での活動が多かったので、VIVIにご来店されるお客さんの層は僕にとって新鮮で面白かったです。
VIVIで出会ったお客さんたちからはVIVIが好きで集まってきている感じが伝わってきたので、いいお店なんだなと思いました。
――SENSEさん、ありがとうございました
取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)牛丸朋美