INTERVIEWインタビュー
INTERVIEW

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落合佑亮氏インタビュー

インタビュー

2月6日(金)から2月28日(土)まで、VIVI2Fアートスペースにて落合佑亮氏個展【TRANSITION】が開催中です。

今回は落合佑亮氏ご本人にインタビューを実施し、個展の見どころやご自身の作品についてお伺いしました。

profile

Poieverywhere / Yusuke Ochiai
@poieverywhere

1977年東京生まれ。独学で絵画と立体を学び、2010年よりニューヨークを拠点に活動を開始。都市に残された痕跡た人の気配をテーマに、絵画・立体・空間演出を融合させた作品を制作する。14年間のニューヨークでの活動を経て、現在は東京を拠点に“Poieverywhere(想像の道)”という小さな存在を通じ、都市と記憶、想像の関係性を探るプロジェクトを展開している。

――今回の個展のコンセプトについて教えてください

14年住んでいたNYから帰国してもうすぐ2年になるのですが、去年は国内で多く展示をさせていただきました。

久々に日本で展示をやってみるとやはり海外とは違った感触があり、去年の年末にここ数年の自分について振り返ってみたんです。そのときに自分の中でフェーズが変わったような感覚があったのですが、それが何なのかはまだ明確になっていなくて。

そんなタイミングでVIVIでの展示が決まったので、今回は「これ」という確立したテーマではなく、次につながる変化に向けてのチャレンジをさせてほしいという話をさせてもらいました。

なので、今回はその「変化の途中」も含めて見せたいという意味も込めて【TRANSITION】(移り変わり)というタイトルにしました。

今回は30点ほど展示をしている中の約半分が新作になります。


――落合さんの代表作であるPOI(Path of Imagination)について教えてください

実はPOIは、私の夢から生まれたんです。
NYへ行った当時、最初は根拠のない自信があったんですが、日が経つにつれて現実は厳しいことがだんだんと分かってきて。
そして2012年のある日、絵を描いている途中で将来が見えない不安に襲われて、絵の具を部屋中にばらまいてふて寝したことがあったんです。

そのときの夢に出てきたのが、ひげが大きくて、ぎょろっとした目でこちらを見ている「なにか」でした。それは特に言葉を喋るわけではなかったんですが、なんだか「大丈夫」と言われた気がしたんですよね。それで次の日の朝、あれは一体何だったんだろうと絵に描いてみたことがはじまりでした。


でも正直、POIとの関係はずっと順風満帆だったわけではありません。

夢に突然出てきたキャラクターにすがるようなかたちで描き始めたので、最初は良かったけれど段々と描いている意味がよく分からなくなってきて。コンセプトもないし、それなのに自分の分身みたいなものになっているし…。だから、正直なところ嫌になって離れた時期もありました。


――再びPOIを描くようになった理由は

2020年頃から数年、誰にも見せるわけでも発表するわけでもなく、ただひたすら描いて描いて描くという僧侶モードの時期がありました。
そのときに改めて自分自身やPOIのことを見つめ直して対話してみたら、やっぱりもう一度POIを大切に描いていこうと思えたんです。
今はポイと、今後も向き合っていく姿勢です。


――NYに移住されたきっかけとは

私はもともとフリーランスで建築パースを描きながら、趣味で絵を描いていました。リーマンショックをきっかけに、時代の流れが大きく変わるのを肌で感じたんです。このままデジタルを突き詰めるのか、それとも自分の手でつくる表現に向かうのか。その問いに対して、アナログでやると決めました。

仕事は仲間に引き継ぎ、すべてを手放して32歳で単身NYへ。言葉も実績もない場所で、アーティストになることを夢にゼロから始めました。


――今後の目標について教えてください

私は描き続けることが大事だと思っているので、そのためには健康で長生きする必要があります。だから95歳までPOIを描き続けて、死ぬ間際に「もう少しでPOIに命が吹き込まれるところだった……バタッ」とか言うのが私のゴールですね。


――VIVIの個展の印象は

私は今東京を拠点に活動していますが、やっぱり地元じゃないところで個展を開くというのは簡単なことじゃないんですよ。でも色んな方が見に来てくださって、それは本当にこの5年間オーナーの杉本さんが頑張って築いてきたVIVIのコミュニティのお陰だなと感じましたね。


――落合さんの作品の楽しみ方のヒントを教えてください

POIは一見ポップな可愛いキャラクターです。でも、これまでお話したようにPOIの誕生や構想には、実は内省的な背景があります。作品に没入できるポイントを意識して描いているつもりなので、色んな視点で見て楽しんでいただけたら嬉しいですね。

あと、よく「耳があるPOIと耳のないPOIの違い」を聞かれるのですが、一部例外はあるものの基本的に立体は耳がなくて絵は耳があります。

というのも元々立体作品は日本のお地蔵さんからヒントを得てNYのストリートに置くことからはじまったので、丸っこいフォルムなんです。

ちなみに初めてNYの街に置いたとき、ちゃんとボンドで固定していたのに持ち去られていて、代わりに「I got your point」と描き置きがあったんですよ。なんかそのコミュニケーションがいかにもNYらしくて面白いなと思って、ますますストリートアートにのめり込みました。


――VIVIのお客さんにメッセージをお願いします

実は今回、杉本さんが5年ぶりに壁を白く塗り直してから初の展示でした。

オープニングパーティで杉本さんが「POIくんの作品を良かったら見てください。でもこの白い壁は僕が4日かけて塗りました」って壁に持っていかれたので、私も「今回の展示のメインは白い壁です」と言って締めました(笑)。

だから、来てくださったお客さんに「ああ白い壁が綺麗だな」と思ってもらえたら今回の個展は大成功です!

また、今回はVIVIの店内に「隠れPOI」を置いてみたのでぜひ探してみてくださいね。


――落合さん、ありがとうございました。

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com)牛丸朋美

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