INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW

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アーティストTakaprincipal氏インタビュー

インタビュー

2023年11月より、欧州料理 VIVIの店内にてTakaprincipal氏の作品が展示されています。
今回はTakaprincipal氏ご本人にインタビューを実施し、ご自身のルーツや作品についてお伺いしました。

profile

Takaprincipal(タカプリンシパル) @takaprincipal

愛知県出身。
フォトグラファーとしてトップブランドの撮影などを手掛けながら、アートディレクター、クリエイティブティレクター、DJ、アートキュレーターなどの多彩な顔を持つ。
香港をベースに世界各国を旅しながら「五感で感じた魅力」を写真作品として制作。
2020年、欧州料理VIVIの総合プロデューサーとして、全体コンセプトや空間、その後のアーティスト誘致までを担当。2023年、日本を皮切りにアーティストデビューを飾り、活動の幅を広げている。

■Taka  reference 
Lumine
https://www.lumine.ne.jp/lmap/post/LMA/20220728/takaprincipal/
Studio Apartment
https://www.universal-music.co.jp/ak/news/2021-08-31/
Njengengoma Studio Apartment, Toshi
https://www.traxsource.com/title/1638352/njengengoma
N.E.O.N
https://www.traxsource.com/label/44249/n-e-o-n?page=1

ーー多彩な顔を持つTakaprincipalさんとは?

仕事としてはクリエイティブディレクターの仕事がほとんどで、表現手段として一番長く携わっているのがフォトグラファー。五感で表現する方法として、DJをすることもあるかな。

香港に拠点をうつしたのは10年前で、基本的には「どこ行きたいか?」を逆算して、それに合わせた仕事や生き方をしてきてる。

欧州料理VIVIとは、コロナで日本に戻ったときにオーナーの杉本さんと出会って、そこからコンセプターとして立ち上げに携わったのがはじまり。今後も、コンセプトが深くて成熟したアーティストを中心にVIVIのアートギャラリーに呼びたいと考えています。

ーーご自身のアーティストデビューについて

もともと20歳のときに「50歳でアーティストデビューしよう」と決めてたんだよね。当時働いていたニューヨークの写真ラボには超一流のフォトグラファーがいて「こんなんじゃ20代、30代じゃ全然叶わないぞ……」と、レベルの違いを見せつけられてしまって。

それに、周りを見てみたら50代くらいからイキイキと良いテイストが出てきている人が多かったから、それなら30年間遊んだ方がいいのかなと。

だから今まで「お前中途半端だぞ」って言われても無視してきたし、自分のやりたいことに自ら進んでいくんだっていう概念を貫いてきた。実際はいま49歳だから少しフライング気味ではあるんだけど、世界情勢やタイミングを見つつ、まずは日本からアート活動をスタートしました。

ーー「周波数の可視化」がテーマとなっている作品について教えてください

今回の3つ作品の方向性は、蛍光色の四角で彩られたシリーズの「W Frequency」、太陽をモチーフにした原始覚醒の表現「Primitive Awake」、植物から放たれる生命力や色気を根源とした「Seduction」

すべての作品に共通してるのは「1000年先の未来人に発掘されたい」っていうコンセプトで、特に移り変わりが早いこの20〜30年の技術を閉じ込めた「未来のオーパーツ」になるように、写真をレジン加工や銅の箔、蛍光色でプリザーブドしています。

写真だとどうしても写真集にするとか飾るというアプローチしかないんだけど、この作品はもう一歩深く、植物と同じ立ち位置で自然の中で調和が保てるような仕上げにしてて、 最終的には植物園で展示したいなと思ったりもしています。

ーーフォトグラファーとしてのルーツについて教えてください

9歳の頃、粗大ゴミ捨て場で「引き伸ばし機(※写真フィルムの像を拡大・投影し、印画紙に焼き付けるための機械)」を拾ってきて、自宅に持ち込んで遊んでいたのがきっかけかな。

家で現像やプリントができるようになったから、内職とかバイトをしては良い機材を揃えて独学で撮影して……高校時代は強豪校のラグビー部の主将をしていたんだけど、試合の写真を超望遠で撮ったり、写真部にも顔を出したり(笑)

そして、卒業間近の冬休みにラグビー部の先輩の紹介で大手出版社の方と知り合って、そのまま東京でフォトグラファーとしてデビュー。本当は写真学校に行くはずだったのに忙しくて通えないし、むしろまとまったお金が貯まったから、その流れで18歳でニューヨークに行きました。

ーー仕事やキャリアへの考え方について教えてください。

ニューヨークでは、アーティストやバレエダンサーを目指しているような連中とつるんでいたんだけど、日本に戻ると、ニューヨークに住んでたってだけでキャリア組かのような扱いで「それならこの仕事あげるよ」って。ニューヨーク行っただけでこんな仕事もらえるんですか?っていう(笑)

そこでクリエイティブやビジネスの上層とのネットワークができて、交流が激しくなる。入れ替わり立ち替わりいろんな仕事をやっているうちに、そういう渦の中に入っていって自分の知らないところで勝手にでかくなっていった感じ。

仕事は自分のライフ以下だから、家賃さえ払えばいい。みんな「利用する」という言葉をネガティブに捉えてしまうけど、自分はめちゃめちゃポジティブに考えてる。世界には80億人ぐらいいて一生かけても出会えない人もいるんだから「自分のプライスに合わない人とは付き合いません」と突っ張ってやってきた。

自分の頭の中で勝手にネガティブなことを想像してるとそこにとどまってしまうけど、 ポジティブなこと考え出したらね、自分がアクティブだったらどれだけでも行けるわけだから。

ーー写真/撮影という表現方法についての想いを聞かせてください

ディスレクシアなので、文字だけで表現することに違和感があって、この味はこの色になるとか、この香りはこういう写真や絵になるとか、この音楽を聞いたらこの風景が湧いてくるという五感のコネクションの方が早い。

それに、どれくらいのものが言葉で表現できるのか?また全員同じなのかな? と思うと全然違う感じもする。だから「photograph」は、「光」を表すphotoと「図表・書く」を表すgraphの造語なんだけど、俺の場合はgraphはいらないなと思って。自分という「photo natural phenomenon(光の自然現象)」がこの時代に生きていたことを、作品にアウトプットしています。

ーーアート作品の楽しみ方を教えてください

例えばヨーロッパでは街のあちこちにフレーム屋があって、絵や写真を飾るのが日常だったりするんだけど、日本はまだアートの取り入れ方が上手じゃないのかもしれない。

でも、コーヒーショップで1日2杯コーヒーを飲んだら1,200円くらいかかって、365日だったら40万円以上を味覚的なエナジーに取り入れているんだから、そのうちの少しでも視覚的なエナジーを取り入れることに使ってみてほしい。

ひとつの月でも、満月が好きなのか三日月なのか、光が好きなのか影なのかは人によって違う。同じように、1日の太陽の見え方を全く違う画像加工で表現した「Primitive Awake」も、見た時のその人の状況で惹かれるイメージは変わると思う。

今回の作品の場合は、ちょっと変わった観葉植物だと思って植木鉢に立てかけてくれたっていい。こっちで色々やってるから、あとは見た人のエナジーが勝手に回るような状況が理想だなと思っています。

写真の仕事ではめちゃめちゃきれいに仕上げた1枚で優越感を得ている側だったけど、今回の作品は真逆で、傷つけたりボコボコにしてダメージ加工をして、natural phenomenonがプラスされて完成系になるから、自分はただの自然の一部のエレメンツでしかない。

一番傲慢である人間が主張するんじゃなくて、写真が土に還る過程に人間が関わっていたという行為をやってみたというところですね。

――Takaprincipalさん、ありがとうございました

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.comはちがゆか

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