INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW

11

ウールアーティスト Ura.氏インタビュー

インタビュー

11月4日(土)から11月26日(日)までの期間中、VIVI2FアートスペースにてUra.氏個展【Kōmyō】が開催されます。
今回はUra.氏ご本人にインタビューを実施し、今回の個展の見どころやご自身の作品についてお伺いしました。

<profile>

Ura. @ura.4060
羊毛造形家 / wool artist
東京・武蔵野多摩地域に生息桑沢デザイン研究所卒

2009年より作家活動をはじめる
「生きる歓び、愉しみ」をテーマに、神出鬼没に現れる
フェイクな羊毛動物たちを通じて命の在り方を問う。
ギャラリーを跳び出し店舗は勿論、高架下や走る電車の車内など
共鳴した場所を舞台に動物たちと寛げる空間を創る。

また「ニヤッと笑えるものづくり」を目指し、
つくり手とし夢中で手を動かし手が導いてくれる明日へと進む。

主な展示
2012 「SICF13」at Spiral
2013 「Into the light」二人展 at SAKuRA Gallery
2015 「Relax」別府アートマンス at 北高架商店街
2016 「旅する絶滅危惧動物」紀の国トレイナート
2017 「turn」at cafe +gallery 芝生
2022 「Delight」at YUGEN GALLERY
2023 「真夏の白昼夢」at ピピネラ

――今回の個展のコンセプトについて教えてください

今回の個展は「Kōmyō(光明)」というタイトルを付けました。
このタイトルの背景には、自身の出産と育児の経験があります。わたしは5年前に出産し、それから数年育児に専念するためにアーティスト活動を少しお休みしていました。
そして去年久々に大きな展示をさせていただいて活動を再開することになったのですが、なかなか出産前のように自由に製作時間が取れず……。自分がまるで暗いトンネルのなかにいるような心境になってしまっていたときにVIVIでの展示のお話をいただき、それがトンネルの遠い先に見えた光のように感じたんです。
それをきっかけに、いつも自分の傍にいてくれる動物たちと一緒に一筋の光に向かって歩いていこうという前向きな気持ちになれました。
また、わたしのイメージでは名古屋は金色なんです。キラキラと煌めく場所に進んでいく、という思いを込めて「Kōmyō」と名付けました。
今回は去年YUGEN GALLARYで開催した個展で展示した子たちに加えて、今年制作した4匹と新作のアイリッシュセターと柴犬チェリーを連れて行く予定です。

――ウールを扱うようになったきっかけを教えてください

実はわたしが元々目指していたのは、靴職人の道でした。毎日靴づくりと真剣に向き合っていたのですがなかなか思うような物が作れず、新聞に載っている靴の広告を見るだけで気持ち悪くなるくらいまで追い込まれていたんです。
10年やって芽が出なかったら辞めよう、と決めて始めたことでしたが、いよいよ9年目になったとき、何とか気持ちを切り替えたくてワークショップ荒らしをしまして(笑)。そこで羊毛と出会ったんです。
靴はどんなに頑張っても思うように作れなかったのに、羊毛を触ってみると考えている形を手が勝手に作ってくれるような感覚で。頭に浮かんだ形をそのままに表現できることが面白くて嬉しくて、そこから羊毛を使った雑貨などを作るようになりました。

――作品のモチーフを動物にした理由を教えてください

最初は趣味程度でウールの雑貨づくりを楽しんでいたのですが、あるとき鞄作家の友達から二人展をやろうと誘われました。
当時、わたしは羊毛を触り始めて数か月しか経っていなかったのでとても心細く感じたんです。そんなときに「動物の相棒がひとりいてくれたら心強いんじゃないかな」と閃いて生まれたのが、最初の作品のひつじのロールちゃんです。その子を見たお客さんたちがすごく喜んでくださって、それまでは人に喜んでもらうという体験がなかったのですごく嬉しかったんです。それからはどんどん仲間を増やしたくなってきて、気付けばウールアーティストとして活動していました。

そしてわたしは話すのがとても苦手なので、実はそんなわたしを動物たちが心配そうにいつも見守っていてくれるという関係性なんです。だから、本来はドキドキして焦っているわたしも含めての展示というか(笑)。でも、動物たちがいると何か不思議な魔法がかかって、コミュニケーションを取れるようになったりするので、そんな感覚が楽しくて続けているという部分もあります。

――ご自身の出産・育児の経験が作品に与えた影響はありますか

わたしは、かったいアイスクリームが好きなんですが、娘はわざとアイスをドロドロになるまでやわらかくしてから食べるんですよ。
なんかそういう姿を見たときに、おいしい、楽しい、素敵だなとかいう感覚的なものって本当に人それぞれなんだなとしみじみ思いまして。そこから発想を得て生まれたのが、溶けかけのアイスの作品なんです。

作業に関して言えば、育児をしながら作業の時間を確保しなければいけないので、製作時間を短縮化することはできないだろうかと考えるようになりました。例えば、今までの作品はすべて中に針金を入れて作っていたのですが、その工程を省いたり、少し平面に近づけた作品を作ってみたりと、色々と試行錯誤しています。

――VIVIの印象について

VIVIのHPを見たときに「こんな素晴らしいところで展示させていただいていいのだろうか」と感激しました。メインの展示は2階アートスペースですが、動物たちはきっと1階も気になって仕方がないと思うので、なにかつながりを持たせられたらいいなと思っています。

――ご来店されるお客さんにメッセージをお願いします

素敵な空間で美味しい料理やお酒と一緒に、ぜひ動物たちとの時間も楽しんでいただけると嬉しいです。皆さんが語りかけてくれることを動物たちも楽しみにしていると思いますので、ぜひ実際に動物たちに会いに来てください。

――Ura.さん、ありがとうございました

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com/)ウシマルトモミ

RELATED

関連記事

PAGE TOP