さまざまなアーティストの世界観に染め上げられる、2Fのアートスペース。
10月11日から11月30日までは、サイバーパンクアーティストCHA2(チャツ)さんの手によって「近未来の世界」が具現化されています。
今回はCHA2さんご本人に、個展の楽しみ方やVIVIの印象をお伺いしました。
<プロフィール>
CHA2 (松浦 啓文)
Subculture x StreetFashion x Technology をテーマにCyberpunkで近未来な世界を具現化し続けるアーティスト。 国内外の若者を中心に多くの支持を得る日本のサブカルチャーと、その時代や社会・文化を背景に若者から自然発生的に生まれたストリート系ファッションを融合したスタイル。 ロボットアニメやビデオゲームの世界から得たインスピレーションをヒントに最新のガジェットやテクノロジーを用い、見た者が少し先の未来のライフスタイルや夢を思い描くことができる作品を目指している。
ーー今回VIVIではどんな作品を?
今回の展示は映像と電飾、プロジェクションマッピングを使って「仮想と現実の狭間」の世界を表現しています。
カラフルな服を纏った3体の作品が「仮想空間」、つまりSNSやインターネットの中にいる自分。いわゆるアバターですね。そして、対面して作品を鑑賞していただいてる方々は「現実」世界にいるという構図になっています。
映像や光、音をシンクロさせることで作り上げた「仮想世界」と「現実世界」を体感してもらうというコンセプトで制作しました。
ーーサイバーパンクのルーツについて。
物心がついたころからロボットが出てくるようなアニメが好きで、ガンダムのプラモデルに始まり、AKIRAにも影響を受けました。特に、AKIRAに出てくる「ネオ東京」の世界観に引き込まれたのを覚えていますね。
僕が作っている作品のテーマは、「ちょっと」先の未来なんです。全然想像もつかないような先の未来じゃなくて、あくまでもすぐそこに迫っている未来。
ホログラムディスプレイで表現する「すでに完成した技術」に、「もうすぐできるようになる技術」をCGで追加することで、その期待感やワクワク感を皆さんに伝えることが僕の使命だと思っています。
ーーインスタレーションを作るようになったきっかけは。
僕は元々18年くらいVJをやっていたのですが、結婚を機に映像制作会社を立ち上げました。
お仕事として受注で映像制作をやっていくなかで、「創作意欲をかたちにしたい」という想いが大きくなったのが、アーティスト活動を始めたきっかけです。
あとは、僕の作品でも使っているんですが、あのプロペラみたいな「ホログラムディスプレイファン」を見かけたのがターニングポイントだったかなと思います。
あのデバイスに出会ったことで、一気に作りたいもののイメージが湧き上がってきました。
ーー作品を作る上での苦労は。
僕が今サイバーパンクアーティストとして作っている作品は、フレキシブルディスプレイだったり、ホログラムディスプレイだったり、ガジェットを扱うことが多いんです。
そういった部品を海外から取り寄せて作っているんですが、今まで専門にしていた映像とはまた違った技術が必要です。
VJ活動のなかでLEDディスプレイを使った経験はありましたが、やはり初めて扱う道具がほとんどなので、ネットなどで色々調べながら作業をしていますね。
ーー洋服も販売されていらっしゃいますね。
洋服は、コミュニケーションツールだと思っています。
作中に出てくるキャラクターが着ている服を提供できれば、自分が作るサイバーパンクの世界をより体感してもらえますよね。だから、洋服を作ることは必然だったと感じています。
ーーVIVIでギャラリーを開催したきっかけを教えてください。
他のお仕事でタカ プリンシパルさんとお仕事をさせていただいた際に、VIVIでの展示のお話をいただきました。
その3日後にはもう杉本さんにお会いしてましたね(笑)
ーー杉本さんの印象は?
杉本さんから言われた「限られた条件の中で、何がやれるのか」という言葉がすごく印象に残っています。
その言葉から、自分への期待や心地の良いプレッシャーが伝わってきました。
普段は気さくで場を和ませてくれるんですが、オーナーとして締めるところは締めてくれる方だと思います。
ーーVIVIに訪れてみて、どんな感想を持ちましたか。
まずは本当に綺麗な空間で、ドアを開けて入った瞬間に「ここでやりたい」と思いました。
あと、本当に人が素敵ですよね。僕の作品は電気を使うので設営が大がかりになるのですが、杉本さんが率先してどんどん人を巻き込んでたくさんの人に手伝っていただきました。アーティストの長尾ヨウさんまで来てくださったんですよ。そういう皆さんの気持ちが本当に温かかったですね。
ーーCHA2さんの作品の楽しみ方を教えてください。
SNSを見ていると、特に今はコロナの影響もあってか、未来を「ディストピア」だと感じている若者を見かけることが多いんです。
そういう方たちに対して、「未来はユートピアなんだ」というメッセージを込めて作品を作っています。僕の作品を通して「未来」という言葉に希望を持ってほしいというのが、僕の願いです。
ーーCHA2さん、ありがとうございました。
CHA2さんウェブサイト https://tri-co.jp/
取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(mamhive)https://mamhive.com/