INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW

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VIVI 1周年 特別3人展「 都会の森 〜その先へ〜」対談インタビュー

インタビュー

【欧州料理 VIVI】のオープンから早くも1年。

国内外で活躍するさまざまなアーティストの個展が随時開催され、フレッシュなアートと旬の料理を堪能できる唯一無二の空間として好評を得ています。
そして、1周年を迎える2022年3月2日から4月末までは、記念イベントを開催。
チームVIVIのメインアーティストである南志保さん、牧かほりさん、WOK22さんの3名による特別3人展「都会の森 〜その先へ〜」がご覧いただけます。

そこで今回は、VIVI 1周年 特別3人展をより楽しむためのヒントや製作秘話を教えていただきました。

ーー今回の個展「都会の森 〜その先へ〜」のはじまりは。

W:最初から3人で1周年イベントをやるという企画があったわけではなかったんですけど「どこかのタイミングでやりたいね」という話はずっとしていました。本格的に動き出したのは、2021年末くらいからですかね。

牧:「都会の森」をベースに、今回はその森のさらに奥に踏み入れるというテーマは決まっていました。そこで、どうやって3人が混ざるかというところを話し合いました。

南:ふたりはグラフィックで私が立体なので、それぞれの着地点を探りながら案を出し合って。そのなかでWOKくんと牧がそれぞれ片面ずつ描いたロール紙を私が裁断するという、今の展示にたどり着きました。

ーー制作にあたって、苦労した点や見どころは。

W:僕が最初に描いたんですが、10mのでっかい白紙のロール紙が2本が手元に来て……どうやってアトリエの中で描こうかなと悩みました。まずはアトリエの掃除から始めましたね(笑)そして次に一緒に添い寝をしてみました。

牧:まずは仲良くならないとね。

南:素晴らしい。

W:インクを乾かすために、ドライヤーとエアコンとストーブを駆使してサウナみたいな部屋のなかで制作しました。今回の作品のこだわりは「早く牧さんに送ること」だったので、3日間で仕上げました(笑)

牧:WOKくんの作品はカラフルでしたし、最近私はモノクロが好きなので、白と黒を使いました。同じ黒でも鉛筆やパステルなど色々な画材を使っているから、テクスチャーの違いも楽しんでもらえると思います。

南:ふたりが描き終えたロール紙を展示場で切る、というのが私の制作だったのですが、最初は胃が痛くなるくらい不安でした。
WOKくんにも「遠慮しないで描いたので遠慮しないで切ってください」って言われていたから、できるだけ無の状態になるように仕向けたんですけど、やっぱり白紙を切るわけじゃないので……。
でも、牧の絵を見ながらある程度切って、途中で裏返してWOKくんの絵を見ながら切る、というのを何回か繰り返すうちにだんだん慣れてきましたね。

ーー完成した作品を見て。

牧:影が落ちてくる風景に木漏れ日が感じられて、森っぽくなったなと思います。切り刻まれた感じがすごく気持ち良いですよね。

W:森なんだけど、どこか羽っぽさを感じます。森の奥なんだけど、お茶が飲めるくらいの明るさがあって心地良い。

南:私としては、距離的な「奥」というよりも、顕微鏡でようやく見えるような森の要素を感じています。普段は目に見えないけれど、奥でうごめいている何かの声が聞こえてくるような。

ーー展示の楽しみ方を教えてください。

牧:森なのか遊園地なのか、いろいろな感じ方があると思います。見る場所によっても違う雰囲気を味わえるので、さまざまな角度から楽しんでいただきたいですね。

ーー作風の異なる3人のコラボレーション、感想は?

南:牧は色んな作風があるなかで、何と合わせても意外と合うんですよね。そもそも牧はストリート系のファッションが好きだから、WOKくんとすごく合うんだと思います。

牧:確かに、ソウルはそっちですね。仕事はエレガント系なんですけど、人間的にはパンク精神なのでストリートアートが好きなんです。

南:WOKくんにも牧が持ってる要素みたいなものもあるから、壁画のときもそうだったけど「放っておいても絶対うまくいくな」みたいな安心感があるんですよね。

牧:私たち、性格がやさしいから(笑)
特にWOKくんは本当にやさしい。何でもできるし、この展示の設営とかも自らパパっとやってくれたんですよ。

W:かほりさんと志保さんは本当にストイック。細部にまでこだわって作品に向き合っている姿を見ると、僕もちゃんとやらなきゃなって思います……。

ーーコロナ流行を経て変わったことは。

牧:コロナ禍の最初の頃は、画材屋さんが全部お休みになってしまって、画材を調達することができなかったんです。だから手元にあるものを使ってみようと思って、絵を保護するための薄紙に絵を描いてみたんですが、これが意外に良くて。色々な素材に描いてみることで、たくさんの発見がありました。

W:やっぱり今までやっていたようなライブペイントの仕事はなくなりましたね。でもちょうど僕の中でも、制作の時間を増やすためにライブペイント活動を減らしている転換期だったので、落ち着いて制作できる時間がつくれたかな。なぜか壁画とかグラフィックアートなどのオファーが増えたので、コロナ禍になってからの方が忙しくしています(笑)

ーー現代の日本のアートについて。

W:みんなすごく活発に動いていますよね。展示もたくさんやってるし、提供とか壁画プロジェクトとかもすごく多い。例えばキレイめのブランドがアニメ画のデザインを取り入れるなど、色々なところでクロスオーバーが起こっています。iPadのようなデバイスが普及したおかげでアートへの入り口が広くなったし、あらゆるところにアートが混ざるようになったなと感じます。

南:この2、3年ですごく変わった気がします。みんなが色んなことに飽きていたんだと思うんですよ。それを崩してくれるのが、自由な発想を持っているアーティストだったんでしょうね。アーティストたちは、素直でスピリットが伝わりやすいからこそ、そこに企業が共感してくれるんだと思います。以前は異端児扱いされていたアーティストたちが、今ようやく息継ぎをしながら社会を泳げるようになったんじゃないかな。

そもそもアーティストって、職業ではなく「生き方」のこと。みんなその要素を持っているんだと思います。八百屋さんでもお花屋さんでも、新しい概念を持っている人はみんなアーティストですよね。

牧:コロナ禍がきっかけで、内側にあるアーティストの要素に気付いて開花してる人も多いですよね。だからアートがゆるやかに、ライフスタイルに溶け込んでいる現状があるんだと思います。
それに自由に動けなかった分、日本のアートがますますデジタルで海外に行っている感じもしますし、日本国外ではアートがよく買われているという情報をネットで知ることで、日本でもアートにお金を出す人も増えたんじゃないかな。アートがどんどん身近になっていますよね。

ーー南さん、牧さん、WOK22さん、ありがとうございました。

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(mamhive)https://mamhive.com/

  • アーティスト紹介

南志保
セットデザイナー・ビデオアーティスト/東京在住

武蔵野美術大学建築学科を卒業後、コンサートのセットデザイナーとしてキャリアをスタートする。舞台のカラクリ、仮設だからこそのエネルギーに惹かれるうちに、日常のそこかしこにもそのカラクリを仕掛けたいと考えるようになる。立体集団ガリネル 主宰。舞台美術、セットデザイン、ディスプレイデザイン、パッケージデザイン、ビデオアート、他手がける作品は多岐にわたる。
https://www.gullinel.jp 

牧かほり
グラフィックアーティスト/東京在住

花や植物のモチーフを中心に描き、一枚の絵をテキスタイル、プロダクト、映像、空間演出などに展開している。2018年ロサンゼルスで個展、2019年サンディエゴにて壁画制作などグローバルに活動。近年アップル社、Adobe Systems Inc. との共作をきっかけにデジタル作品も多く手掛け、デザインとアートの両方に力を入れている。
第12回 文化庁メディア芸術祭アート部門審査員推薦作品受賞。Gullblyanten silver award/ Norway 日本大学芸術学部デザイン学科卒業。
https://www.k-maki.com

WOK22
名古屋出身福岡在住のグラフィックアーティスト、ベインター
雲や触手のモチーフを好んで描いており、自分の中にあるボップでダークな部分を、様々な手法で表現する。
Softbank HAWKSファイト! 九州ユニフォームデザインや、STUSSY、Herschel、PARCO、ADIDAS、ONEPIECEアートプロジェクトなどへアートワークの提供をするなど、活動は多岐にわたる。近年ではタイ/韓国/台湾/マニラなど、国内外での表現の幅も広げている。
http://www.wok22.com

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