INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW

4

シルクスクリーンプリンター/グラフィックデザイナー 葉朗氏インタビュー

インタビュー

5月4日より2Fアートスペースにて開催する葉朗氏の個展「PSYCHO DELICIOUS」。

今回は葉朗氏ご本人にインタビューを実施し、今回の個展の見どころなどをお聞きしました。

Profile

【葉朗(HARO WORKSHOP)】
シルクスクリーンプリンター/グラフィックデザイナー

1983年広島県生/広島在住。雑誌の様な興味の固まりを少しづつ発射させては、次々と”諦めて”行った末のサイケデリア考察渡航船乗組員。特殊漫画大統領・根本敬の自家ブランド「家作」所属。アートワーク・デザインは「葉朗」、シルクスクリーンプリントは「HARO WORKSHOP」として活動中。近年はサイケデリックな世界を白と黒の光学デザインのみで構成する「モノ・サイケデリック」をテーマにコラージュ作品を製作。好きな花はクリサンセマム・パルドサム。
https://www.instagram.com/haro_workshop/

ーー今回のイベントに展示される作品について

2階に展示される作品は、キャンバスに施したコラージュがメインになります。

そして、1階でもお料理とのコラボレーションを企画しているのでそちらもお楽しみいただけたらと思います。

ーー作品のこだわりは

僕の作品はサイケデリックをテーマとしているんですが、いわゆる一般的なサイケデリックアートって色彩が豊富ですよね。僕はそのサイケデリックという混沌とした世界を、あえてシンプルな白と黒だけで表現したいという思いで作品を作っています。

ーー白と黒だけで表現するというルーツについて

そもそも色というのは光の反射で見えているものなので、RGB(赤・緑・青)の原理で言えば白のなかにすべての色が含まれているということだと思うんですね。

そして個々に感じる感覚「クオリア」でも言われているように、例えば自分ともうひとりの人間が同じ「赤」を見たとしても、その赤は他人と自分から同じように見えているかどうかは分からない。色は100人が見れば100通り違う見え方をするものなので、白と黒だけで提示すれば表現が伝わりやすいな、と思ったのも理由のひとつです。

ーー葉朗さんご本人はとってもカラフルなイメージがあります

そうなんですよ、色めっちゃ好きなんですよ!髭に虹色のエクステ付けたりするくらい。あれはちょうどコロナ禍ど真ん中の時期で暗いニュースばっかりだったので、ひとりくらいアゴから虹生えてる人がいてもいいんじゃないかと思ったのがきっかけです。

僕はギャルっぽいものとか派手なものが好きなので、それをそのまま作風にしてしまうと面白くないじゃないですか。

だから作品を見てくださっている方に初めてお会いしたときには、だいたい「もっと怖い方を想像してました」とか言われますね。僕はひねくれているので、そのギャップも狙っていたりします(笑)

ーー広島に在住しながら活動を続ける理由

僕は広島県広島市で生まれ育ったんですが、広島市って都会すぎず田舎すぎず、生活がしやすいんですよ。その風土だったり都市規模が、僕にとってちょうどいいなと感じているのが理由のひとつです。

そして、アートに関わる立場としても、自分が何か表現を見たい・表現をしたいときにそういう環境や場所が「0」ではないっていうのも良くて。東京を10、周りに何もない山奥を0とするなら、広島は3か4くらいの感覚なんですね。

現在東京にもアトリエを作っていて、東京に滞在することも多いんですが、東京って毎日どこかで何かが起きているんですよ。本当ならそれってポジティブなことなのに、そこに行けない・関われないとなると、ネガティブな発想になってストレスになってしまう。

だから、元々の選択肢が少ない方がシンプルな生き方ができて、作品を作ったり自分に向き合う時間が作りやすいなと思ったんです。

かといって0の土地に住んでしまうと、0を1にするために力を使わなければいけなくなるので、僕にとってはローカルのゆるさの中で物づくりができる広島というのがちょうどいい場所なんです。

ーー葉朗さんが思う、広島という土地について教えてください

広島って、皆さんもよくご存知の通り歴史的にも大きな意味を背負ってしまった土地です。

僕が生まれたときには戦争が終わっていたし、原爆ドームも最初から原爆ドームだったんですが、今でも大きな力に対する気持ちが残っていると感じます。

今は復興から76年が経ち、とても住みやすくて平和な町になりました。壊滅的なダメージから立ち上がる力を持っていて今も拳を上げている町だと思いますし、僕もそういう精神性に大きく影響を受けています。

県民性は、一言で言えば「鉄のように熱しやすく冷めやすい」。

流行りには乗るけれど飽きるのも早いんですが、結局冷めるということは変わらないことを良しとしている部分があるんだと思うんです。そして、変わりたくないというのは「破壊されたくない」という気持ちに言い換えることができる。そういう気持ちが根っこにある土地なのかなと感じています。

ーーイベントを開くに至った経緯と、VIVIの印象について

4,5年前に僕が関わっていたプロジェクトでお会いした、VIVIアートディレクターのタカ・プリンシパルさんにお声がけいただきました。

VIVIには2度ほどお邪魔したのですが、先日は杉本さんが広島にお越しくださったので各地をご案内しました。杉本さんは人を喜ばせるのが好きで、気持ちの良い方ですよね。

ーー来店される方にメッセージをお願いします

僕は自分だけの表現だけではなく、その場にふさわしい何かをしたいという思いが常にあるので、今回は1階がレストランということで「PSYCHO DELICIOUS(サイケデリシャス)」というテーマにしました。

面白いことにサイケデリックとは「サイコロジー」と「デリシャス」を組み合わせた造語なので、その語源をテーマに落とし込んだという側面もあるのですが、VIVIの素敵なお料理と僕の作品とが溶け合うような展示になっています。

具体的には僕がデザインした陶器のお皿でお料理を提供したり、キャンドルアーティストのチエミサラさん作のキャンドルに僕がシルクスクリーンを施した作品を灯したりと、ふらっとお料理を楽しみに来られた方にも作品をお届けできるような工夫をしています。

目と口でお料理を堪能していただいたあとは、ぜひ2階のアートスペースにも足を運んでいただけたらと思います。

ーー葉朗さん、ありがとうございました

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(https://mamhive.com/)ウシマルトモミ

RELATED

関連記事

PAGE TOP