INTERVIEWインタビュー

INTERVIEW

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総合空間ディレクション南 志保さんインタビュー

インタビュー

空間、料理、アート、音響、照明…それぞれのスペシャリストが出会い、結成された「チームVIVI」。全員の個性が見事に融合し、唯一無二の空間が完成しました。

今回はVIVIを深掘りするべく、「総合空間ディレクション/エントランス天井・テラスオブジェ」を担当した南 志保さんにインタビュー。
チームVIVIが誕生した経緯や、空間に込められた想いについて伺いました。

――普段は東京を拠点に、セットデザイナーとしてコンサートなどの舞台美術を手がけていらっしゃる志保さん。舞台美術のどんなところに惹かれているのでしょう。

舞台のセットというのは「平面的なものを立体に見せる」ために、とてもたくさんの仕掛けが施されています。側面や上から見ると実はいろいろなところに人が隠れていて、からくりを展開するんですよ。
わたしはそういうからくりに惹かれていて、そんな仕掛けを舞台だけじゃなくていろいろな場所に作ったら面白いだろうな…なんてことを考えながら作品づくりをしています。

――どういった経緯でVIVIのディレクションがスタートしたのですか?

もともと友人だった、コンセプターのタカ プリンシパル(以下タカ)から電話をもらったことがきっかけです。
わたしはレゴが好きで、自粛中もよくレゴを作ってインスタグラムにあげていました。
それを見たタカが、VIVIのテーマ「都会の森」に当てはまるものを感じたらしく、連絡をくれたんですね。
「ちょっと名古屋に来てみてよ」と誘われて、現地に行ってみたんです。そのときにオーナーの杉本さんと初めてお会いしました。

――これまでに店舗デザインをされた経験はあったのでしょうか?

カフェでイベントをやるときのインテリアをデザインしたことはあったんですけれど、ここまでイチから携わらせてもらったのは初めてです。わたしにとって大きなチャレンジでしたが、杉本さんがあれだけチャレンジされているから、これは乗るしかないと思いました。

――どのような視点から空間をデザインされたのでしょうか。

「反射」と「重なり」と「密度」という3つのテーマを聞いたとき、まずは抜けのある空間が必要だと感じたんです。
だから、最初にこの建物を開放するためにお店の天井を全部外すことを考えました。あとは、奥行きのある造りもうまく活かしたいとか…。
「この建物が喜ぶような造りにしたら、きっとヒトを受け入れてくれる」
そんなふうに思って、イメージを膨らませていったんです。そうしてつくり上げた最初のパースを、杉本さんはほぼそのまま採用してくれました。

――オーナーの杉本さんはどういった印象ですか?

決断力のある方で、とても良いエネルギーを持っていらっしゃると思います。
普通、「何かを決断する」ときって迷う場面が多々あると思うんですけれど、杉本さんは最終目標に迷いがないんです。
先ほども言ったように、お店のデザインはわたしが最初に描いたパースほぼそのままなんですよ。
実際に「素敵だな」と思ったとしても、実現するとなると様々な壁が立ちはだかるじゃないですか。でも、杉本さんは実現に向けて何をしたらいいかということを考えて動いてくれました。
コンセプトや細かいところはタカとわたしが介入しましたが、「実現する」ことに関しては杉本さんが引っ張っていってくれましたね。

――店内の壁は他の2人のアーティストによる作品によって彩られています。牧かほりさんとWOK22さんの印象はどうでしたか?

牧かほりとは、一緒に仕事をすることが多いので良く知った仲なんです。彼女はグラフィック、わたしは立体でそれぞれの作品を重ねていくという活動をしています。
WOK22さんは初対面でしたが、アートチームの4人で初めてZoom会議したときに、絶対仲良くなれるなって感じましたね。「初めまして」だったのに、なんか「久しぶりー!」にみたいな(笑)。
話し合いを重ねるたびに、「同志」としての繋がりが強くなっていったと思います。

――複数のアーティストの作品が点在しているのがVIVIの特徴ですが、他の方の作品とのコラボレーションについてはいかがでしたか?

きっとタカの中では、元々この3人はうまく調和すると考えていたんだと思います。
もちろんひとりのアーティストに描いてもらうというのもアリなんですけれど、タカは何人かのアーティストの作品が重なり合うのが好きなんですね。そうすることで自己の世界観だけに走らず、他の作品との接点を見つけようとするときにまた新しい発見があったりして。 

VIVIは、すべての空間、すべてのアートが「全部繋がっている」ということを意識しています。 
いつのまにか外から中に入っていて、 またいつのまにか中から外に出ていて、いつのまにか何かが何かに繋がっている。料理とアートと音楽…そこにあるいろいろなものが混ざっていくといいなと思ったんです。

――実際に完成した店舗を見たときの感想を教えてください。

わたしが思っていた以上に、建物とわたしたちが仲良くなれたような気がしました。
最初は「入ってもいいのかな?」とか「手を入れてもいいのかな?」と迷うこともあったんですけれど。
建築の段階で職人の方の意見も参考にしながら、梁を残したり、土壁の色を基調にしたりと元の建物を活かす方向にしていきました。
建物の部分をいくつか継承することで、より仲良くなれる接点がつくれたのかなと思いました。

――最後に、お客さまにとってVIVIはどんな空間であってほしいですか?

VIVIは、それぞれの場所で違う楽しみ方ができることが魅力だと思います。
だから、いろんな方と、いろんなときに、いろんな目的で来てほしいですね。アートに触れに来るのもいいし、食べに来るだけでもいいし、またはちょっと立ち寄るだけでもいいし。
服装だって、フォーマルでも、 ラフでも。
いろんなものが点在して、融合して、繋がる空間であってほしいですね。

――志保さん、ありがとうございました。

取材・テキスト/ライターチームマムハイブ(mamhive)https://mamhive.com/

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